建設業界、労働人口減少
厚生労働省の資料「図2 就業者に占める若年層・高年齢層の割合の推移」からの引用したものです。

全産業の29歳以下の割合が平成28年で16.4%に対して、建設業は11.4%しかありません。平成25年の10.2%より少しだけよくなっていますが、若い層から人気がなく、若手職人の人手不足がわかります。一方、55歳以上の高年齢層は、全産業が29.3%に対して、建設業は33.9%。建設業界は肉体労働であるにもかかわらず、全産業より4%も高いです。
今後建設業界では職人不足を原因とする倒産が増えていくのでしょうか?
それは、建設業界が若い層から人員確保を行い人手不足を解消できるかにかかります。
一般社団法人日本建設業連合会が発表した資料によると、2025年には2014年から128万人が減少する、と推計しています。また、2025年度までの目標として、生産性向上による省人化で35万人分、新規入職者を90万人増やすとしています。新規入職者は、34歳以下の若者を中心に90万人、うち女性を20万人以上としています。
外国人労働者の採用
今後、期待されるのが外国人労働者です。深刻化する人手不足を解消する方法として外国人労働者の受け入れを考える企業は今までもありました。飲食業でアルバイトをしている外国人は今までも数多く見かけたことでしょう。
しかし、就労ビザは高度なスキルをもつ場合や、看護・福祉など特定活動に指定された職にしかビザが認められず、日本で働きたいと考える外国人は、就労ビザがおりない在留資格である留学生や技能実習生としての資格で働くしかありません。
(留学)の在留資格では1週間で28時間以上の労働が認められていません、(技能実習)の在留資格では建設業などでの単純作業が認められていないうえに技術を本国へ持ち帰る研修が目的のため再入国が難しくなります。
建設業には、オリンピックに備えた一時的な制度である(外国人建設就労者受け入れ事業)が設置され、外国人材の受け入れが可能となっていました、しかしこの制度も2020年度で終了となります。
このような中で、2019年4月から新たな在留資格である(特定技能)が追加されることになります。この資格は、今まで認められていなかった外国人労働者の単純作業における労働を認める在留資格です。
特定技能とは?
特定技能とは、外国人に対し単純労働も含めた就労を認める新しい在留資格です。2018年6月に資格の創設が閣議決定され、2018年12月にはその運用方針が閣議決定されました。2019年4月より業種ごとのタイミングで運用がスタートになります。建設業においては2020年3月までに基準となる新たな試験の開始が予定されています。
特定技能には1号と2号の2種類の形があります。
特定技能1号では5年までの資格となりますが、2号を取得すると制限なく更新することができます。また特定技能2号では家族の帯同が認められています。
それぞれに資格に設けられた基準について見ていきましょう。
<特定技能1号の資格取得基準>
条件としては技能水準と日本語能力の基準を満たす必要があります。
①技能水準
・建設分野の第2号の技能実習の修了
・特定技能1号評価試験の合格
いずれかの要件を満たす事が必要。
*建設業における上記の評価試験とは、建設分野特定技能1号評価試験または技能検定3級を指す。
②日本語能力
・建設分野の第2号の技能実習の修了
・日本語能力判定テストの合格
・日本語能力試験(N4以上)の合格
いずれかの要件を満たす事が必要。
【特定技能2号の資格取得基準】
条件としては熟練した技術と共に、班長としての経験が求められます。
〇技能水準
建設分野特定技能2号評価試験または技能検定1級の合格
班長としての実務経験
上記の条件を満たすことで特定技能1号か2号に該当されます。
特定技能者受け入れについて
特定技能が創設されることで建設業としては4万人ほどの雇用が予想されています。直接雇用も認められており、雇用関係としては労働者と会社の2者関係です。
法務省の定めた特定技能生を受け入れ、機関の基準には労働関係法令や社会保険関係法令の厳守があります。これは外国人労働者と契約をする際、報酬額が日本人と同等以上であることを確保するためです。
特定技能者の受け入れを開始する前に、今から社内の労働環境を見直し、外国人労働者も働きやすい環境作りや、支援のできる組織体制を整備することが重要になってくると考えられます。
まとめ
今後、建設業界では若い層から労働力を確保できなければ外国人労働者の力を借りなければ現場をこなしていけない状況に陥る事になりそうです。